呟怖〜家族

#呟怖家族
大学のサークル活動で肝試しに行ったA子は肝試しに行った次の日から大学へ顔を出さなくなった酔った勢いもあって嫌がる彼女を無理やり女性メンバーが肝試しに連れ出した事で立腹しているのではと危惧し謝罪の意味も込めてA子のアパートへ尋ねていった。然し彼女が居た部屋は既に空室となっていてA子の所在は以降パッタリと途絶えてしまった。其から数週間後夏休み明けの講義にA子は元気よく登校してきた。そして夏休み中に引っ越し今は“家族“と一緒に住んでいるという。その言葉に友人達は小首を傾げた。なぜならA子は地方出身者で両親は地元で自営業を営んでおり店を畳んで上京した話は一切聞かされてなかった更にA子が“兄“と呼ぶ人物も友人達が知る限りA子には兄弟は存在せず独りっ子と聞いていたからである。妙な胸騒ぎがした友人達は新しい住居に遊びに行きたいと言い彼女も快諾してくれた。当日持たされた地図を元に彼女の“家族“が住む場所へ向かった友人達は一軒の古ぼけた家屋に辿り着いた、庭付き一戸建ての住居だったが庭は荒れ放題、電気やガスも通っている感じはせずこれはいよいよヤバイと直感した友人達はドアを叩き彼女を呼び出した。玄関の戸が空いた途端友人達は小さな悲鳴を上げた。其処には大学であった元気な彼女の姿はなくげっそりとやせ細り目は虚ろで焦点が定まらない丸で魂を抜かれた様な彼女が立っていた。そしてニッコリ笑うと“家族“を紹介してくれた。だが其処に人の姿はなく青白く光る人魂が所在なく数体浮かんでいるだけだったという後から聞いた話によるとあの場所には嘗て本当の“家族“が住んでいたらしいが借金苦で一家心中し其からは誰も住まない廃墟となっていたと言うだが今も其処には“家族“が住み続けていたようだそして新たな“家族“がやってくるのを心待ちにしているのだろう。程無くしてA子は大学を退学し以降行方不明となっているという事である。もしかすると…。
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